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今更波の国終わりました~。下に全部拾ってupしてます。
思ったより短かったかな。明るく爽やか?に終わりましたが、この二人はどろどろの短編『甘い夢』へと続きます。
ナルトはずっとサスケに対して純粋な友情を、いつしかサスケはナルトに対して歪んだ愛情を向けることになるのですが、間に特にイベント的なネタがないので今回はこれでENDということで。今回CP要素が皆無なのでさらっと本編に続けばいいなーとか思ってます。
更新ができる20日過ぎにでもサイトにupしたいなぁと。早くお題を決めないと。会社の行き帰りだけだとこんだけの量も日数がかかりますね^^;家ではタブ使うことやってるので。早くネーム終わらせてキーボードでお話書きたいところです。

メルフォレスv

けいこさん>
アキヒカは純粋に読専でいきたいと思います!!本当時代モノってキリがないですね!!けいこさんが平安行ったら戻って来れないって言われてたのが、ようやく分かりました^^;私も結構下調べとか好きなんで(でも記憶に留めないダメな子)ちょっと外に出て名所巡りとかしそうな予感です。うちの汚物をけいこさん宅に投下とかできませんよ!!(ヒィッ)えと、そしたらヒカ碁コンテンツは継続ということで、居た堪れなくてちょっとずつ減っても許して下さいね。増やすようにはしますので><サイト運営は楽しい半面、更新がなければ申し訳なく思いますもんねぇ。私も一度休止しましたし。体と相談しながら無理しないよう頑張って下さいねvでも更新は楽しみにしてます。日記もv

ちひろさん>
己の欲望に忠実なだけですよー!!他はかなりいい加減です^^;サスナルはやっぱり思い入れが強すぎて切り離せないので、少しでも書こうと思っているうちは頑張ります!!書きやすいジャンルでもありますし^^わぁ、ちひろさん歴史に詳しいんですね!!尊敬!!私は分からないなりに、幸村巡りとかしたらレポ書くと思いますvうっは、追いかけたとかってどこのサスナル(笑 どうぞ、サスナル好きさんをひっぱっていって下さいませ~v

えびせんさん>
見つけて下さってありがとうございます^^全裸で待機ですか!!(爆 いやはや、このサイトで除毛のお手伝いをしそうになるとは~(笑 一応、今度書く予定のダテサナのウォーミングアップ的な感じで書いたんですが、やっぱアレらは使えないですね^^;真剣に読んでも斜めに読んでも筆頭がいたキモい。こちらこそついったーではヨロシクお願いします~♪

水青さん>

青が蒼と変換されてしまう^^;結構足軽ダンスのMMD動画はupされてますが、これが一番カッコよかったvカワイイのが多いんですよね。私も良く分からないんですが、フリーの3Dソフトで一般の方が色々作ってupされてるようですよ。残念ながらサスナルとアキヒカのMMD動画はありませんでした^^;




今更波の国



もう本当にあの時は体が勝手に動いて
例えば一歩前に足が出るだけで相手の攻撃範囲に入ってしまうだとか
例えばその小さな体に手を伸ばすだけで無防備になってしまうだとか
そんなことは本当に考えてなかったんだ

それが命の選択だということさえ判断できなかった自分は、間違いなく愚かであるという言葉を否定できないだろう。
部屋で目が覚めて、自分を取り巻く状況を受け入れた時まず、最初にサスケが思ったことはそれだった。
自分より強い忍がいることはどうしようもない。それが敵であり対峙することもあるだろう。正しい状況判断が自分を生かし、成さねばならないことを達成することができる。まずは生きなければならないのだ。己を伸ばすのもあたり前に命あってこそ。
簡単に投げ出してしまっていいものではないはずだった。
己にかした責はそんな軽いものではない。


力が欲しい
ずっとそう思ってきた。あの日から。
すべてが自分に優しく、厳しく、そしてあたたかであったものが消え去ってしまったあの日から。
圧倒的な力を。なにをも捩伏せ、奪ってしまえるほどの力。
まだ、手は届いていない。

兄さんのように――――

違う

なれるよ、お前なら

違う

兄さんみたいに――――!

違う!

もっと上を目指さないと
そう、木葉の英雄と言われるくらいに――――サスケ

違う

違う!

今自分が目指す高みは
希む場所は


そんなぬるい甘やかな記憶なんて消し去って。
この深い夜の海に沈めてしまって。
もう同じことにはならないと強く誓った。

そして生き抜いて――――!

首をめぐらせ見上げた先には、薄い雲に覆われた冷たい月。


次にサスケが目を覚ました時目に入ったのは、窓に切り取られるようにしてあった水色の空だった。そして規則的に耳を打つ波の音。前に目を覚ました時には感じなかった全身を襲う鋭い痛みにサスケは眉を寄せた。
ゆっくりと首を仰向けた途端走る痛みに漏れそうになる声を押し殺す。手をやろうとして、やはりズキンと刺さるような痛みにサスケは腕の力を抜いた。
どうやら自分は満身創痍というやつなのだろう。それに熱もあるようだった。自然もれる熱い息。巻かれた包帯が己の汗で湿っているのがわかる。小さく身じろげばさらとするはずの布同士の擦れる感触はなく、着せられた寝巻きさえもじっとり重く感じられた。
「目が覚めたか、サスケ」
「……ぁ…」
声を出そうとして、しかし鋭く走った痛みに息をつめた。
「喉は特に酷いから話さない方がいい。痛み止めも切れてるからな」
言われたとおり開きかけた口を閉じる。それでも声のした方へと首をめぐらせた。ちょうどカカシが立ち上がる気配がする。音もなく近づくとサスケの枕元に腰を下ろした。
「化膿はしてないようだが、腫れて熱を持ってる。しばらくは動かない方がいい。痛みが我慢できないようなら痛み止めを出すが・・・・・・・」
カカシが言い終わる前に、サスケは小さくかぶりをふる。
覚えている限り、床に伏せなければならない程の怪我を負っているのは自分だけだ。この酷い痛みを麻痺させてくれるのはありがたいが、痛みを認識しなければ体の回復は遅くなる。サスケは早々にも床払いがしたかった。
それが分かっているカカシは、熱と痛みに耐えるサスケを見ても特に気遣う様子は見せない。今のサスケにはそれがありがたかった。
「千本を抜いたとき出血した。もう止まったみたいだな。痛むだろうが朝食の前に着替えと包帯を替えるからそれまで」
眠れるようなら眠っておいたほうがいい、まだ朝には早い。そう続けてカカシは腰を上げた。
「……カ……シ…」
痛みを押して呼んだ声は波の音に消されそうなほど、弱々しく小さなものだった。しかし、それに気付いたカカシが振り返る。
「ナルトたちはまだ呼ばないよ。あいつらうるさいからね」
右目だけで笑んで見せるとカカシがそう言った。
言いたいことを先回りされたかたちとなって、サスケは安堵とともに目を閉じる。カカシはうるさいからと言ったが、間違いなくサスケの心情をくんでの言葉だろうと思えた。
いくら仲間を庇うためとはいえ無様に敵の前に倒れた自分。
それ以上の失態はないとは思えるが、だからといって弱っている自分を見せたいだなんて思うわけもない。
だから、庇われたあいつのことを慮ってのことだなんて。ここまで弱った自分を見てあいつがどう思うかなんて。
そんな優しさとも言えないような、甘いことを自分が思うわけが。
「また来るよ、サスケ」
意識の隅にぱたんと閉じたドアの音が小さく聞こえたのを最後に、サスケは闇へと飲み込まれた。


丁寧に剥がされるガーゼが一枚、一枚とサスケの座る布団の上に散っていく。無造作に置かれたそれには赤黒い丸がひとつ、あるいはふたつと印しのようにあった。
全身に巻かれていた包帯を解けば全ての傷跡に化膿止めの練薬を塗布したガーゼが貼られている。それをカカシが一枚づつ剥がしているのだが、傷口とガーゼが 貼り付き、それを剥がすたび軽くはない痛みがサスケを苛んだ。新たな血がにじんだが、化膿するよりはと傷口を消毒し、またガーゼを当てる。痛まぬようにと きつく包帯を巻かれた。
小さくはない包帯とガーゼの山をみやって、よくも己の体にこれだけの穴をあけてくれたものだと思う。痛みはあるが貫かれたヶ所が機能しないということはないようだった。正しく急所を外しているのだ。そんなことにさえ、サスケは白という少年と自分との歴然とした差を垣間見て、苦いどろりとしたものが胸に広がる感覚に眉を寄せた。
淡々と作業をこなすカカシは、初めこそ傷の状態やサスケの具合を聞いてきていたが、今はそれもなく最後に残った右腕の包帯をまいている。
サスケも声を出すのはまだ痛みがともなうため、率先して話しをしたいわけもなく、大人しくカカシに手当をまかせていた。
なので、ふたりのいる部屋はひどく静かだ。ただ波の音だけが控えめに聞こえていた。
そんな沈黙もやがては終わりをつげる。
「写輪眼を開眼させたんだってな」
手を動かしながらカカシが唐突とも思えるタイミングで、口を開いた。
声を出すことはできたが、サスケは小さく頷くにとどめる。それを見るでもなく気配で察したカカシは言葉を続けた。
「やっぱりお前もうちは一族なんだな」
どこか嬉しげに、しかし少しの憂いをおびた声音にサスケは俯いていた顔をカカシに向ける。
「お前が生きていてくれて嬉しいよ」
決して真面目とは言えない上司の意外な言葉に、サスケは怪訝な表情で返す。ただ自分の生還に感極まっただけでは収まらない何かを感じとって、己の手をとるカカシの顔をじっと伺った。
それに気付いたカカシが、困ったように眉を寄せる。
「オレだって部下の心配くらいはするよ。はい終わり」
包帯も巻き終わり、肩にかけられた寝巻の上に腕をとおす。はだけないようにと袷の端を結ぼうとするカカシの手を軽く遮って、自分で結んだ。指先に一度だけ 痺れるような感覚があったが、問題なく動くそれにやはり舌打ちしたい気分になる。苛ついて仕方がない。今の自分には何もかもが気に触るようだった。
「回りくどいな…はっきり…言ったらどうだ……」
カカシの言葉の端々にまじるものが何であるのか、心当たりのあったサスケが鋭い目を向けた。
「あんた。今回オレがとった行動に腹を……たててるだろう」
手当もおわり散らばった包帯やガーゼを片し終えたカカシが、サスケの言葉に意外そうな顔をする。
「そんなことないに決ってるでしょ。前にも言っただろう。仲間を大切にしない奴はクズだってね」
「そう言ったあんただから…違和感を感じんだよ。確かにオレは仲間を庇ったことでこんな傷を負ってる。あんたの言葉からすればこれは正しい判断なんだろ う?生きてて良かったって言葉は、オレが生きてることによってあんたの負担が軽くなったから出てきた言葉なんじゃないのか?」
カカシは一度目を開くと、目を細めた。笑ったのかもしれなかった。
「つっかかるねぇ」
「違うのか?」
「ちょっと違う…かな」
「完全には否定しないんだな」
マスク越しのため断定できないが、やはりカカシは笑っているようだった。余裕のようにも自嘲のようにもとれるそれに、サスケは苛立ちがつのる。
「別にオレはお前のとった行動がオレの責任だなんて思っちゃいないよ。仲間を大切にするってことが、盲目的に手を差し出すことだなんてお前も思ってないだ ろう?それともオレの言葉に従ったんだって、お前は自分のとった行動を責任転換したかったのか?だからナルトを庇ったのは自分の意志じゃないと……」
お前はそう言いたいの?じっと覗きこんでくる隻眼が、そんな逃げは許さないと言っている。
「別にオレはお前のとった行動がオレの責任だなんて思っちゃいないよ。仲間を大切にするってことが、盲目的に手を差し出すことだなんてお前も思ってないだ ろう?それともオレの言葉に従ったんだって、お前は自分のとった行動を責任転換したかったのか?だからナルトを庇ったのは自分の意志じゃないと……」
お前はそう言いたいの?じっと覗きこんでくる隻眼が、そんな逃げは許さないと言っている。
そう言われてサスケは何も言い返せないことにくっと息をつめた。カカシの言葉に肯定すれば逃げることになる。だからといってはっきりと否定するにはプライドが邪魔をした。
体が動いていた。
それだけで片付けてしまうには、サスケの背負うものは大きく簡単に切り捨ててしまえるものではないはずなのに。
しかし、結果己のとった行動といえば、すべてを投げ捨て小さな体に手をのばすという、忍としてあるまじきことだったのだ。
「サスケ。正直オレはお前がとった行動が正しかったかどうかなんて分からないんだよ」
言い返せないでいるサスケに、先ほどの挑発するような調子とは変わって、落ち着いた声でカカシが言う。
「それを決めるのはお前だよ。お前はオレに決めてほしかったみたいだけどね」
「オレはもう二度とあんなことはしない」
太ももの上に置いていた手に力がこもった。ここで目が覚めてからずっと思っていたことだった。あんな自分の命を投げ出すような行動をとった自分を誰かのせいにしたかった。そう思っていたことは否定できない。
「サスケだったらそう言うと思ったよ。オレ以外のヤツだったら間違ってたと言うかもしれない。でもやっぱりオレは今回のことが間違ってたなんて言えないんだよ。ちょっと思い出したことがあってね」
カカシが額当てで隠れる左目を指して見せる。
「なんでこうなったかってことなんだけど」
そこでカカシは困ったように笑った。そこにある眼が、今は自分も持つものと同じであると、今回の任務でサスケは知った。
今はサスケを通してさらにその先に思いを馳せるような彼の眼は、ついぞ知らない色をしている。先ほどカカシが言った様に、きっと普段は隠された眼をカカシに与えた人物でも思い出しているのだろう。それとこれとどう関係があるのか分からないサスケは重たく口を閉ざす。
「これをオレにくれたヤツは、同じセル仲間だった。ちょうどこの前のお前のように任務中に写輪眼を開眼したんだそいつは」
カカシが語る昔話しを聞き、白と対峙していた自分をサスケは思い出していた。
「開眼したすぐ後だ。あいつは殉死した。任務中へまをやらかして片目失くしたオレに、たった一度しか使わなかったそれを押し付けて。オレをね庇って死んだんだよ。そいつは……」
そこまで聞いて、サスケは瞠目する。カカシの言うそいつと自分は正しく同じ道を進んでいたのだ。
危機迫る中で開眼し、カカシを庇ったという彼。ナルトを庇った自分。
しかし、決定的に違ったのは、それは自分が生きていたということ。カカシが過去を、しかも庇われた側からすると辛酸を舐めるような強烈な過去だ。それを今回のことで彼が重ねても仕方がないと思えた。
「オレはあいつを思い出す度に自分の弱さを呪ったよ。後悔ばかりだった。ああしていれば、あいつは死ななかったかもしれない。オレがあそこであんな選択をしなければあいつは生きていたかもしれない。そんなことばかり考えていた。今も考える時があるよ」
そう静かに語るカカシの顔は確かに今でも悔いていることが見て取れた。
考える時がある。多分それは今回のことを指しているんだろう。
「その頃オレは上忍になったばかりで。それでも戦友の死は見てきたつもりだったんだ」
それもそうだろうとサスケも思う。手違いがあったとはいえ、下忍の自分達でさえこんな任務があったりもするのだ。中忍、上忍ともなればその危険性は高くてあたり前。カカシの言葉にサスケは小さく頷いた。
きっとカカシは、そのセル仲間の死を受け入れるのに相当の時間がかかったのだろう。続かない言葉がそれを語っていた。
庇って死んでいった彼を恨んでいる。庇われて生きている自分を恨んでいる。
忘れることなんてない。それは一生の枷だ。忘れたように生きていても、ふいに蘇る。
例えば笑った一瞬の後に。例えば眠りに落ちる一瞬の前に。
そんな思いをかかえているんだとカカシは言っている。
当時、上忍だった自分でさえ。
「ナルトは…・・・」
サスケの小さな声を聞き取って、カカシが伏せていた目をあげた。そこにはもう苦渋の色はない。
「ずっとひとりで修行をしてるよ」
「そうか」
それが簡単に想像できてしまって、サスケは相槌を打つ。
「こんなことを言うのは甘いのかもしれない。でもあいつの命を繋げたお前だから言うよ。ナルトはまだ親しい人の死というものに遭遇したことがない。これからはそんなことも言ってられなくもなるだろう。それでも、最初のそれがお前じゃなくて良かったと、オレは心から思うんだよ」
そう締めくくったカカシの言葉に先ほど彼が言った、お前が生きていて良かったという言葉が、ただ単に自分に対するものだけじゃなく、他にも示唆していると感じたのはこのことだったのかと、サスケは思う。罪悪感くらいはあるだろうかと軽く考えていたが、カカシのこの様子からあのウスラトンカチはかなりまいっているだろうことが予想された。


その日は不思議と風が凪いでいた。意識していれば規則的に告げる波の音が今日は聞こえない。熱にうなされ引きずりこまれるようにして眠る日はすでに過ぎ、ここ数日は時計が時を刻む音に近い思いで波の音を聞いていたサスケだった。
痛みはすっかりなくなったとはいえ、動き回ることはまだ難しく十分過ぎる睡眠を取れている彼にとって、規則的に耳を打つそれは毎夜彼を苛立たせている要因でもある。
(明日にはもう出れる)
薄い掛け布団にくるまりながらサスケは己の体を意識させる。
指、腕、足先、足。問題はなさそうだ。強い衝撃さえなければ、痛みも感じることはないだろう。しかし、喉と肺は少しばかり治りが悪いように感じたが、たまに込み上げる咳のせいだろうと結論付けた。
ナルトは日々、森に入っては修業をしているとカカシやサクラに聞いた。
サスケはまだナルトとは顔を合わせていない。同じ家にいるのに薄情だ、とサクラが憤慨していたがサスケはそれに応とも否とも答えずに、ただ話しを聞くにとどめていた。
あまり反応を返さないサスケにサクラも気を使うのか、それとも居心地が悪いのか、早く良くなってねと一言の残してサクラはいつも早々に部屋を出ていく。
(薄情……か……)
サスケはぼんやりと天井を見上げながら、セル仲間の言葉を反芻する。
(違うな……)
ナルトのそれを薄情というのなら、カカシがあそこまで気にかけたりはしないだろう。
サスケは手の平を上に向けるようにして、額の上に手を置いた。目覚めてからの苛立ちがもうずっと収まらない。思うように動かない体は忌ま忌ましく、まだ来ないただひとりの人の訪問を待っているような心境にも納得しかねていた。
先日もつい、いらぬ言葉をカカシに吐いたばかりに、知らなくてもいいような彼の過去を覗いてしまった。それに伴ったのは残された者の憐憫。自分にもあるものだ。しかしそれはとうの昔に重く暗いものに変わってしまってはいたのだけれど。
サスケは眠ろうと目を閉じた。眠気はないけれど起きていても何もすることがない。ちょうど波も凪いでいる。動き出すのは明日からと心に決め、軽くかけていた上掛けを胸元まで引き上げた。
その時、部屋の前で微かに気配がした。条件反射のようにため息が出たのは仕方がない。間違いようのないその気配は、ここずっとサスケの思考を占めていたその人。それを意識した途端、急に騒ぎだした胸に手をあて半身を起こした。
(なんだ……?)
吐き気にも似た感覚を与える胸の鼓動にサスケは眉を寄せる。不快という言葉以外に他の言葉は見つからなかった。深呼吸を二度ほどすればどうにかそれも収まり、サスケは今だ迷惑にも部屋の前で、入るか引き返すかを迷っているセル仲間の名前を呼んだ。
その数秒あと恐る恐るという体で、ナルトが扉の隙間から顔を出す。部屋の明かりを落としている為、サスケの姿をみとめてからもナルトはこちらを伺っているようだった。
サスケが体を起こしていることに気付いたナルトが、どこか遠慮するような声音で入室の是非を問う。それに応えれば、やはりいつもよりよそよそしい様子でナルトが近寄ってきた。
ストンと座った目線の位置は、そうサスケとは変わらず、しかしさ迷わせて定まらないそれはスケが写りこむことを拒否していた。
何のためにここに来たのか。知らずまたため息が出そうになり、吸い込んだ空気をゆっくり吐き出した。この様子であれば最初にサスケが拒めば、ナルトは部屋にも入って来なかったかもしれない。しかし、ここで彼を避けることは逆に意識しているということをあらわしているようで、サスケは不快な胸の鼓動には蓋をして、その元凶とも思われるナルトを招きいれたのだ。なのに、座ったはいいが、なかなか口を開こうとしないナルトの様子に、今まで常にあった苛立ちがまたふつふつとわきあがる。
「ナルト、用がないなら出ていけ。もう見舞ってもらわなくても明日には動ける」
思っていた以上の冷めた声音に、サスケは舌打ちしたい心境にかられる。今ナルトの前であからさまに感情を表すことはしたくなかった。
何故自分はこうもナルトに己の感情を知られたくないと思うのだろう。常に優位に立っていたいという、相手を意識しないと成り立たないような感情は今までサスケにはなかった。常に成績は文武共にトップであったが誰かを蹴倒してトップになりたかったわけじゃない。己が思うままに行動し、それを積み重ねてきた結果そうなっていたというだけだ。だからこんな感情は慣れない。自分はきっと戻りたいのだ。何にも意識を反らされず、ただあの男だけを盲目的に見据え、邁進していたあの頃の自分に。
「話しは……あるってばよ……」
彼にしては歯切れの悪い言葉が発っせられた。サスケはナルトから目を反らさない。苦手とするものから逃げをうつような真似はしたくなかった。反対に常であれば痛いほど自分を真っ直ぐ見据えてくる少年が、目を伏せ項垂れる様はサスケの目を引くものでもあったのだ。
「話しがあるんだったらさっさとすませてくれ」
存外に早く出ていけとにおわせ、それでもサスケはナルトの言葉をじっと待つ。
自分から話題をふることはしない。彼から踏み込んできたのだ。あの件に関してナルトが腹を立てていようが傷付いていようが、サスケには関係がない。許しを請おうとも慰めようとも今のサスケが思うわけがなかった。常にない感情を誰かに向けるなど、したくはない。特別な感情なんて邪魔にしかならないのだから。
「その傷。跡に残ったりすんのかな」
「……知らねぇよ」
本題の前フリのようにナルトが意味をなさない言葉をつづる。サスケの素っ気無い応えに「そうだよな」と相槌をうち、また口を閉ざした。きっと問いたいことは別にあるんだろう。
しばらくしてナルトがぽつりぽつりと、しかし思ったよりもしっかりした声音で言葉をこぼし始めた。
「オレ……サスケが寝てる間、ずっと考えてた。足引っ張られること嫌いなお前が、何でオレなんか庇ったのかなって。ずっとそればっか……」
サスケもずっと考えていた。何故自分の命もかえりみず彼を庇ったのか。それに答えはまだ出ていない。
「考えて考えて。悔しくて情けなくて。強くならねぇとってがむしゃらに修業して。でもやっぱりサスケはサスケだからオレにお前の考えてることなんて分かんなくて……。あの時どう思ったかなんてさ……」
そこでナルトはゆっくり息を吐き出した。まだ目は伏せられている。サスケは吸い寄せられるように目線をはずせないでいた。
「だったら…オレならどーするだろうって考えた。あの時、倒れてたのがサスケだったらって。そしたら簡単に答えはでたってばよ」
深呼吸。小さく感じる体が震えたような気がして。
口許しか見えないけれど、十分だった。

―――オレも迷わず敵の前に出てた

ゆっくりとナルトが顔をあげた。外せないでいた目線が少しのズレもなくかちあう。
ドクンとサスケの胸が音をたてた。
いつもと違った困ったような笑みを浮かべて、彼がはっきりとそう告げる。

大切な仲間を見捨てることなんてできない

胸が痛む。息苦しいと。
しかし、それは決して不快に感じるものではなく。じわりと熱が広がって充たされる感覚。
何故そうしたのかではなく、仲間であるから、大切であるからこそ、そうせざるを得なかったのだと、彼は言う。
「そう思ったら全部許すことができた。そんなサスケがオレは好きになったってばよ……」
彼はサスケだからという訳ではないのだ。特別だからという訳ではないのだ。
何故かと問われれば、『そこに在ったから』としか言いようがない。
しかし、『そこに在ったから』といってどれほどの人間が同じく動くか。
そんなサスケの心のありように共感するとナルトは言う。
まだ自分にそんな感情があったのだと、絶望する感覚とともに胸を占めたのは安堵とも言える人間くさい感情だった。
「でも、やっぱりこのままってのは癪に触るし、負い目だとか思いたくねぇから」

いつか、どうしても、本当にどうしようもなくて、
もしもそんな時がきたら、お前を救えるならこの命、サスケになら返してもいいって

それを言いにきた

今まで凪いでいた心が、嵐の海へと放り出されたような気がした。



こいつは何でこんなにも
「サスケが嫌だっつっても」
真っ直ぐなんだろう。
自分が意識を失いここで眠っていた間、修行に打ち込んでいたのは苦悩を紛らわすため。
長いとは言えない、しかし短くもない時間、どうやってこの答えを見つけ出したんだろう。
「もう決めたんだ」
心の底。ざわついて。決して自分が望んだ言葉ではないのに、続きが聞きたく思うのはなぜ。
「これで対等だろ?」
そう締めくくってナルトはようやくいつもの人懐っこい、人を食ったような笑みを見せた。
それを目に入れて、込み上げてくる笑いにサスケは肩を震わせる。前屈みになったことでナルトが視界から消えていたが、彼が訝しんでいることは分かった。
(カカシ。こいつはあんたが思うよりも弱くはねぇみてぇだ)
それは等しく己にも当て嵌まることで、この発作のような嘲笑は己にも向けられていた。
痛みがぶり返したところでサスケは笑いを止める。
「何がおかしいんだってばよ」
笑うところじゃないと拗ねる相手に、サスケは今日初めて穏やかな瞳を向ける。
そこには鬱々とした後ろ暗さは払拭されていた。
言いたいことが言えて一方的に蟠りのなくなったらしいナルトがいつものように無遠慮なまでの眼差しを真っ正面から向けてきた。しかしすぐにムムーと目を細める。気持ち悪がっているのだと安易に見てとれたが、サスケが気にするわけもない。
「せいぜい待ってればいい。オレがそんなヘマするわけねぇけどな」
馬鹿にしたようにフフンと笑ってみせるサスケに、間髪いれずにナルトが吠える。
「うっわ、ムカつくってばよー!見てろよ。いつか、絶対ぇサスケの大ピンチの時に格好よく登場してやるってばよ!」
それに溜飲を下しながらも、心中サスケは強く胸にとどめる思いがあった。
絶対このセル仲間の前で醜態だけは晒すことはしないと。
それは別に彼を危険にさらしたくないという甘い考えではない。ただ言った言葉を違えたくないだけだ。そんな庇われるような弱い自分など許せそうにない。
そこまで思ってサスケはああ、と納得する。
だからこいつは必死になってこんな馬鹿なことを言っているのか、とサスケは目の前のセル仲間が行き当たった先に自分もたどり着いてしまって苦笑しそうになった。悔しさを振り切るために、また自分も彼を庇う約をしなければならなくなる。
こうなるとループだ。抜け出ることができない。ということは先に言ったもん勝ちであろうか……。
さらに面白くない結果にたどり着いてしまってサスケは小さく嘆息する。だからこれくらいは言わせて欲しい。
非常に満足しているらしいナルトに、サスケは感情を込めずに冷ややかに、しかし詰っているということは伝わるように言葉は選ぶ。
「ムカつくってナルト、聞き捨てならねぇな。オレのこと好きになったんじゃなかったのかよ」
聞き逃していた訳ではないとサスケが意地悪く言えば、見る間にナルトの顔色が変わる。
「ちが……!あれは、その……!」
「オレも今日でお前のこと嫌いじゃなくなったんだがな」
完全な否定をナルトが口にする前に、すかさずサスケが口をはさむ。
口をぱくぱくさせる少年の顔は、金魚のように赤くなっていた。
「てめぇ……今までオレのこと嫌いだったのかよ」
悔しそうに低く唸るナルトにサスケはいつもの無表情で返す。
「ああ」
「くぁー!本気でムカつくってばよ。普通そんな言いにくいこと面と向かって言うか?」
「お前が先に言ってきたんだろうが。オレはそれに答えただけだ。それにオレは好き嫌いは別として仲間としてのお前は信用してる」
お前はそうじゃないのか?と促せば、やはり悔しそうにナルトが唸った。
「最初はすげぇ嫌だったけど……!!オレも第七班にサスケがいて、今は良かったって、思ってるってばよ……!」
やけくそのようなナルトの返答。それに当たり前だと返してしまいそうになって、一応それは胸にしまう。
そうだ。好き嫌いは別として、大切だとか必要としているとかも別として、任務を途中で放棄したことには変わりのない行動であったけれど、見捨てることはできないと思ったことは確かだ。
あの時でさえそうであったなら、例えば好意を持ってしまった場合はどうなるのだろう。
サスケはそこで考えることを己に禁じた。それこそ面白くない結果にたどり着きそうだ。
「明日も修行するんだろ。オレも行く」
ナルトはまだ紅潮している顔をばっと勢い良くサスケへと向けた。
「え?もういいのか?」
「軽く体を動かすくらいで終わるだろうけどな」
「痛くはねぇの?」
「ああ?」
「だから穴あいてるトコとか」
「変な言い方すんな。もうほとんど痛みは感じねぇよ」
手の平を上に向けて開いたり閉じたりを繰り返し、何ら違和感のないことを再度確かめる。
その仕種をナルトがじっと見ているのを意識しながら、ぐっと力を入れた。
「明日からまた修行だ。そして里に戻ったら任務が待ってる」
ナルトの瞳に強い光が閃いたのが暗い中でも分かった。
それがサスケのある部分を振るわせる。どこかなんて分からない。ただ内側にある感情とは別にある場所だ。
腑抜けたままのナルトなんて認めない。感情まで負けてしまうような相手なら惹かれもしない。
「任務のランクなんて関係ねぇ」
今回のことで更に上を目指そうとするだろう少年の、隣に在ることの喜びを感じずにはいられない。サスケは苦い思いでそれだけは素直に認めた。
自分の隣にはこの少年が在る。

「もう、足ひっぱんじゃねぇぞ、ナルト」


隣に在ることをはじめて望んだ。



END




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