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下の方にダテサナ梵弁編②を折りたたんでます。
いつもこのペースで進めばいいんだけどな。
でもハマりたての勢いが感じられます(中身はぐだぐだだが)
ようやく、漢字が減ってまいりました。まだダテサナどころか梵弁にもなってません。坊さんデバりすぎ。お前らオリキャラのくせに・・・!!(ギリッ でもいいじゃない、史実にいたんだからさ!!半オリくらいの位置づけでお願いします。どうせ梵弁編くらいしか出て来ない予定だし。

にしても、サスナラ様がせっかく読んで下さってるというのに、全くワケ分かんなくてごめんなさいです。
一応ここで人物紹介だけ簡単に。

奥州筆頭独眼竜伊達政宗・・・幼名:梵天丸
甲斐武田軍武将真田幸村・・・幼名:弁丸

今書いてるのは、二人が幼少の頃のお話です。無理やり接点を持たせて話を進めていきたいと思います。

虎哉宗乙・・・政宗の師
甲斐の虎/武田信玄・・・幸村の主(師)

岐秀元伯・・・虎哉信玄の師

奥州・・・伊達領(米沢城:政宗が住む城)
甲斐・・・武田領(躑躅ヶ崎館:信玄が住む城)
長禅寺・・・躑躅ヶ崎館近くの寺院。岐秀が住持している


メルフォレスv

えびせんさん>
うっは!!嬉しいコメントありがとうございますー><最近、自分の書き方に迷走してましたので、本当にうれしいです。まだ自分には人の心をつつくことができるんだなぁと^^もちろん、それだけNARUTOが愛されているということだと思いますけど!!ダテサナ始めました(笑 全然ダテサナってませんが^^;こちらも出来たら宜しくお願い致します~♪




梵弁編②


狭くはない日の本に名を知らしめる甲斐の虎を、愚弟子と言ってのけた老僧に梵天丸は瞠目する。しかし、先程虎哉の訪問を信玄に伝えたという言葉通りであるなら、甲斐行きを決めた理由のひとつらしい『会いたい友』とは信玄公のことで、この目の前に端然と座する老僧はふたりの導師なのだろう。
正直、仏門に関心があるとは決して言えない梵天丸としては、この甲斐までの長い道程、虎哉が道々説いて聞かせる仏法を面白いとは思っても、ためになることはないだろうと思っていた。であるからして、信仰深い輝宗がいくら自分のためと、名僧であると高名らしい虎哉を招聘したからといって、梵天丸自身は特に感じ入ることもなかったのである。
しかし、信玄公といえば、知略に長けているだけでなく、剛の者としても名高い武将。それを相手に『腕が鳴る』とは、己が師は余程の錫杖の遣い手なのだろう。
道中、梵天丸はひとつ決意したことがあった。彼を、虎哉宗乙を師と仰ぎ、教えを請うてみようと。そんな師がかなりの手練れであるとは願ってもないことだ。
甲斐行きが決まってからというもの、どこか鬱としていた梵天丸だったが、ここにきて初めて彼の心は浮き立った。この様子であれば、ふたりの仕合が見れるかもしれない。今だ仕合うといっても遊戯の域を出ない梵天丸であるが、そこは武家の子、とっつき難い仏門の教えよりも、技量や力量を競う仕合いの方が遥かに面白い。
「梵天丸。どうやらあなたは説法よりも仕合いを好まれるようですね」
思っていたことが顔に出ていたのか、間違いなく梵天丸の胸中を言い当てて、老僧はやれやれと苦笑する。
「しかし、武家の子とあれば武術の鍛錬はかかせないでしょう。あいにくここに務める者で武術を嗜む者はおりません。ですが、あなたの師は信玄公に負けずと劣らぬ武術の腕前。文武ともに教えを請い励みなさい。ああ、もしかしたら明日、信玄公は真田の若子を連れているやもしれませんね。歳も近いようですし、あなたの相手には調度よいかもしれません」
岐秀はそこで何かを思い出したように、笑みを浮かべた。
「真田……」
覚えのない名に、梵天丸は首をかしげる。
「信濃は上田領主の嫡男ですよ。武田には人質としておりますが」
そこでまた岐秀は笑みを深くする。その様子と、信玄公が良くここへ連れて来るらしい様子から、言葉通りの間柄ではないと思えた。
「梵天丸はいくつになりますか?」
「七つになりました」
素直に答えれば、老僧が目を見張った。
「おや、では若子と同じ歳でしたか。梵天丸はまこと聡明であられますな。これは先が楽しみですね、虎哉」
「はい、岐秀様」
顔を見合わせて頬笑み合う高僧ふたりを前に、梵天丸の意識は己と比べられたであろう真田の嫡男へと向いていた。あの武田信玄に気に入られるということは、余程聡明であるのかと思ったが、岐秀の言いようはまるで反対。ならば、武術に秀でているのか。
「奥州からの長旅さぞや疲れたことでしょう。すぐに夕餉の仕度をさせますから」
老僧はそう締めくくると、寺仕えを呼んだのだった。


寺院に務めるほとんどがこの庫裡で寝起きをしている。宛てがわれた1室に布団を2枚敷き、用意されていた衝立を使うかどうかを逡巡したのち、これからの長逗留を思って間を仕切った。欲しいと思った時に使うよりは、最初からあった方が不自然にならないだろう。
仕度が整えば静かな沈黙が流れ出す。自城の米沢城であれば真夜中でも城兵、不寝番の気配があり、ここまで静かではない。時刻はすでに夜半過ぎ、ここでは全てが眠りについていた。
岐秀との謁見が終わった後、遅い夕餉が振る舞われた。さすがに湯殿の用意まではままならなかったようで、湯が入った桶と手ぬぐいが部屋に運ばれた。
さっと汚れを落としたところで、虎哉は布団の仕度を梵天丸に言い付け部屋を出ていった。おそらく久方ぶりの師弟の再会、語ることも多いだろう。
後は眠るだけというところで、梵天丸は布団の上にどかと胡座を組んだ。
奥州からの道中は馬を使ったとはいえ、まだ小さな体にかかる負担は大きく、宿場に着けば泥のように眠った。
しかし、今日は今だ梵天丸に睡魔は訪れず、眸は爛々としたままだ。理由は聞かずとも知れている。
甲斐の虎。その名は今は驚異的に勢力を拡大している織田より余程耳に馴染む。
奥州の南下を阻むようにして在る甲斐と越後の動向には、輝宗も目を光らせていた。
(それでも……)
現在の仮想敵は奥州にこそあった。

「梵天丸は武術の稽古が好きだと、輝宗殿から聞いております。あちらでは私が稽古をつけましょう」
甲斐は長禅寺を目指し、虎哉の操る馬へと同乗していた梵天丸に虎哉は当然のようにそう言った。
「虎哉様も武術を?」
緩やかな勾配を歩む馬の背に揺られながら、梵天丸は背後からする声に意外そうに答えた。梵天丸から見て虎哉という僧侶は、穏和で理知的な印象が強い。しかし言われて見れば、梵天丸を前に抱え手綱を握る手は、その印象とは違って大きく骨張っていた。胸に預ける背も不安定さはない。思わず大きく振り返りかけて、
「あまり動かないで、梵天丸。落ちてしまいますよ」
掴んでいた手綱が片方外され、振り向こうと傾いだ体が支えられる。
「それにしても梵天丸は軽いですね。馬は有難いかもしれませんが、しっかり食べてますか?」
決して小さいわけではないが、少年らしくすらりと伸びた手足には子供独特の丸みはあまり感じられない。軽いと言われ、密かに気にしていることでもあった梵天丸は面白くなかった。
「オレは好き嫌いありません、ちゃんと食べてます!それに歳はひとつ下ですが、背だって時宗丸よりずっと高い」
むきになって否定する様子は大人びた印象を与える梵天丸を年相応に見せる。虎哉はくつくつと喉で笑った。
「時宗丸殿とは梵天丸の従兄弟殿でしたか?」
「はい」
「そうですか」
つい従兄弟の名まで持ち出してしまった己の子供っぽさに、梵天丸はきりと奥歯を噛み締める。またその様子に笑いが込み上げるもどうにか堪え、虎哉は己の胸元までしかない頭を一度くしゃりと撫でた。すぐに手を手綱へと戻し、言い聞かせるようにゆっくり言葉を選ぶ。
「物を食すという行為は命を奪う行為でもあります。分かりますね。常に感謝の念を忘れずにおきなさい」
「はい。虎哉様」
「奥州の食事も美味しくありましたが、甲斐も負けませんよ」
それを聞いて、どうにも負けん気の強い梵天丸は譲れなとでも言うように、
「それは楽しみですが、やはり奥州が一番だとオレは思います」
きっぱりと断言する。
「おや、まだ食してもいないのに。何故そう思いましたか?」
「それは、」
何故か。まだ食してもいない他国の食事よりも奥州だと断言できるのか。
それは梵天丸が、色彩美しい膳が自分の前に並ぶまでの過程を少なからずとも知っているからだ。
「奥州の地で育ち、時にはオレのためだけと手が加えられているのを知っているからです」
淀みなく言ってのける梵天丸の言葉に、虎哉の唇がゆっくり弧を描く。
「それは、どこの食事よりも美味しく感じることでしょう」
米沢城で出される料理の数々を思い浮かべ、はい、と返答しようとして、はたと梵天丸は息をつめた。
米沢城をたってから3日。雪解けを待ったからといって、外はまだ十分寒い。そのせいか宿場や食事処で口にした物たちは、どれも体の芯から暖めてくれるようなものばかりだった。それに比べて、最近の、特に奥州をたつ前の食事はどうであったか。少し冷めたものでなかったか。いつからかは思いだせない。しかし、米沢を出てから食す食事は、中には舌を焼くほどのものもあったのだ。それに新鮮さを感じていたともいうのに。
今さら気付くとは……。
「……虎哉様。オレは逃げたのですか」
今までの口調とは打って変わって、唸るように梵天丸が言う。
料理が冷めているということは、調理されてから時間がたっているということ。その間、何がされているのか。
することはひとつ、毒味だ。
冷めた料理が出されるようになったということは、毒味に時間がかかるようになったということ。
自分の知らぬ間に、毒が入っていたことがあったのかもしれない。誰かが自分の代わりにその毒を受けたのかもしれない。
それなのに自分は、今回のこの甲斐行きをただの物見遊山であるかのような心構えで。
ぎりと、握った手の平に爪が深く食い込む。
「最初に言ったでしょう。こたびの甲斐行きは友に会いにゆくのだと。新しい弟子を自慢しに行くのが目的なんですよ。わたしはこんなにも視野の広い弟子を持つことが出来て、輝宗殿には感謝しています」
「虎哉様。オレの眸は……」
ここにきて初めて触れられた右目の話題に、梵天丸はさらしで巻かれた顔の右側に手を当てた。
「あなたがこれから生きていくうえで、片目の不自由さを実感するのは戦場でしょう。しかし、その戦場を不利にするも有利にするも、あなたの心の視野の広さなのですよ。分かりますか。先ほどあなたはひとつのことに気づきましたね。それであなたには選択ができました。逃げるのか、それとも体勢を立て直すのか。梵天丸、覚えておきなさい。状況を知ろうと働きかけること、あることに気づこうと思慮深くなること、広い視野で物事を捉えること。それらが自身の存命に繋がるということを。あなたの右目は見えないかもしれない。でも上に立つあなたはそれよりも他に見えていないといけないことがある。分かりますね、梵天丸」
真っ直ぐ前を向いたまま、諭すように導くように、虎哉は腕にある輝くものを秘めた少年へと語りかける。
それに力強く頷くことで返し、梵天丸は前を見据えた。
逃げるのではない。これは新しい師のもとで自分を伸ばす好機であると言い聞かせて。
恐らくは父輝宗は、梵天丸を奥州より離し、暗殺される危惧を払拭したうえで、何かをする心づもりなのだろう。この期に及んで、輝宗が梵天丸を嫡男として見限ったなどと愚かしいことを思いはしない。
大丈夫。自分は認められている。期待されている。だからこその虎哉の存在なのだ。
「オレは父上の期待を裏切るような真似はしません」
父が対峙する相手が実の母であったとしても、と梵天丸は強く心に誓った。



つづく



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