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どんどん♪

迷走飛行症候群⑤

「ナルトが1番好き」



「いちばん?」
「そう」
にこと微笑むのは黒い髪黒い瞳が印象的な子供。
それにつられてナルトもにこりと返した。
「キバより?」
「キバよりも」
「シカマルより?」
「シカマルよりも」
「へへへ」
ナルトは嬉しくなって鼻のしたを指でこすった。
2階の子供部屋は自分たちにはとても広く、今二人は暗くて狭い押し入れの中にいた。
それでも4枚の襖を必要とするそこは、小さな体にとっては調度いい隠れ家のような居心地のよさなのだ。
「ナルトは?」
隙間からもれる明かりが子供を照らす。
切れ長の瞳がとてもきれいでナルトはうっとりと見つめた。
「オレもサスケが一番すきだってばよ」
ナルトは当たり前とでもいうようにそれに返す。
「でもオレの方がナルトのこと好きだよ。ぜったい」
「そんなことねぇよ!オレの方がぜーったいサスケのことがすき!」
身をのりだしてナルトはサスケの言葉を否定する。
畳まれた布団の上は少し不安定でナルトは四つん這いになってサスケに近づいた。
「ウソだ」
「ウソじゃねぇ」
「それならここにいてくれる?」
「え……?」
サスケが布団に着いていたナルトの手を上からにぎった。
「ここって、押し入れん中?」
「うん」
ぎゅっと捕まれた手に力を込められた。
「いてるってばよ?」
「これからずっとってこと」
「ここに?ずっと?」
小首を傾げて尋ねるナルトにサスケはうなずく。
「だめだめ、そんなこと。お母さんが心配するってば」
ナルトはおかしなことを言うサスケに首をふってみせる。
ここは大好きだけれど、ここはナルトの家じゃない。
「でもナルトがここからいなくなったらオレが心配するんだから」
「なんでサスケが心配するんだよ?」
「そばにいてくれないと不安になる」
そう言って俯いたサスケの顔は前髪に隠れて見えなかった。
力が抜けたようにナルトはペタンと尻をつく。
「ずっとここにいて」
真剣な口調。ざわざわと胸の奥が苦しくなった。
「無理だってばサスケ」
そんなことをサスケに言われてナルトは困ってしまう。
サスケと一緒にいると楽しい。ここのお家も好き。でもサスケのいうようにずっとなんていられないのだ。
そんなナルトの嘘のない言葉にサスケは傷ついたような顔をした。
「ナルトがいないと死んじゃうよ。オレ」
「何バカなこと言ってんだよ!」
ナルトはびっくりして声をあげた。
「オレ……お前がいないと絶対ダメ」
独り言のように暗くつぶやくサスケにナルトはどうしていいか分からなくなる。
「サスケ、サスケ……」
不安がうつったようにナルトはサスケの名を何度も呼んだ。
うつむく顔を覗き込むようにして顔を傾ける。
「サスケ?」
「離れないでよ、ナルト」
「どうしたんだってば」
「ずっとそばにいるって言って」
「なんでそんなこと言うの?サスケ」
「だって母さんが話してるの聞いたんだ」
サスケがゆっくりと顔をあげた。黒々とした瞳がふくらんでいるように見える。
「お前が遠くに行くかもしれないって……っ」
サスケの腕が伸びてくる。
両腕ごと抱きしめられた。
「わっ」
勢いを殺しきれずに後ろに倒れこむ。肩口にサスケの頭がぐいぐいと押し付けられた。
「遠くってどこ?なんで行かないといけないだよ?そんなの、そんなの絶対許さない……」
ナルトはすがりついてくるサスケを押しのけることもできず、ただ名前を呼ぶことしかできなかった。
心の中で何度も何度もごめんなさいを繰り返しながら。

 


監禁希望ですかサスケさん。。。ちょっと壊れてます。
えーと、小さい頃のサスケの言葉づかいって思ったより可愛かったですよね?

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