忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


memo…



よくある
唐突に始まり唐突に終わる黄黒


黄瀬君の告白 その1(結構マジです)













「それならモデルなんてやめてもいいっスけど」
「……?」

久しぶりに二人で公園に来て
いつものようにゴールの下でボールを取り合った。

高校に部活にモデルにと黄瀬君は
普通の高校生より格段に忙しい。

ただボクはまたみんなでバスケをできるようになって
そこに黄瀬君の姿がないのは寂しいと
何気なく言っただけだったのだけれど。

「黒子っちがこうやって遊んでくれるんだったら
モデルなんてやめてもいいっスよ」

ボールから手を離そうとした左手を
黄瀬君につかまれた。
じわりと熱が伝わってくる。

「黄瀬君そんなことは
冗談でも言ってはいけません」

きっと彼のファンの人たちがが悲しむ。

「ごめん…黒子っち」

そう小さく黄瀬君が謝る。
伏せ気味だった顔が少し上がって、
見上げれば真剣な顔をした黄瀬君がいた。

「悪いけど、冗談じゃないっスから」

黄瀬君の顔が苦しいみたいに歪んだ。
朝から感じてた違和感。
追い詰められる感覚。

ボクの両手が黄瀬君の口元へと引っ張られた。
指にやわらかな感触。
黄瀬君の唇が触れていた。

「オレ…黒子っちが好きだ」

少しくぐもった黄瀬君の声。
ボクの手に唇を押し当てて。

どくんと心臓が鳴った。
手が熱い。

チームメイトからの友達だった。
今は学校も違う。
でも大切な存在だ。

友達として、ライバルとして、仲間として、
黄瀬君のことは大事で好きだとは思う。

「ボクも…黄瀬君のことは」
好きです。

そう言おうとした。
でも、

「一緒にしないで」

ボクが口にしようとした言葉は
さえぎられてしまった。
黄瀬君の顔が上がって、
強い視線とかちあう。

「オレと同じだなんて言ったら
許さないっスよ」

あからさまに怒りを含ませて。

黄瀬君……本気だ。

さらにつかまれていた手に
力が込められる。
痛いくらいに。

「黒子っちは好きな人
いたことってあるっスか?」

急にそんなことを言われて
ボクは、え?と顔を黄瀬君に向けた。

「いたことくらいは……」
「その人を思って苦しんだことは?」

矢継ぎ早にそう黄瀬君に聞かれて
随分昔の
もう忘れてしまいそうなくらい昔の
初恋の人を思い浮かべてみる。

その時はそれなりに悩んでいたようにも思う。
だからといって黄瀬君の言うように
苦しんだことがあるかと言われたら
ないかもしれない。

「呼吸が出来ないみたいに苦しんだり、
思うだけで涙が出そうになったり、
わけ分からなくて自分じゃないみたいで
もう考えるのやめようって思っても
どうやったって頭から離れてくれなくて、
黒子っちもそんな風に
その人のこと思ってた?」

黄瀬君独特の鋭い目線がボクを見つめる。

黄瀬君の手が
無意識に体を引きそうになるボクを
許してくれなかった。
反対に引き寄せられる。

「一日会えないだけでつらくて
声聞けないだけで苦しくて
でも顔見たら声聞けたら
今までのつらさとか苦しさとか
奇麗になくなって嬉しいって気持ちで
幸せになるんスよ。
いつも相手のことばっかり思ってて
そんな自分が気持ち悪くて
でもそれやめると何も残らない。
つらくて苦しくて気が狂いそうになるけど
相手を想う気持ちが止められないって
他の人見てるって思うだけで
頭おかしくなりそうとか
その人じゃなくてもいい、
黒子っちは思ったことあるっスか?」

これは、
誰だろう……。

今ボクの手をつかんで

燃えるような目して

離さないのは



いったい誰?

「ねぇ。黒子っちも苦しんだ?」

すがるように
きつくつかんでくる手。



「アンタの好きは
オレと同じ?」



その強い瞳に
飲み込まれそうになる。

「自分だけ見て欲しいって。
他でもない自分を選んで欲しくて
無理やりでも傷つけてでも自分のものにしたくて
でもそんなことして嫌われたりしたら
オレ生きていけない。
でも手に入らなかったらとか
誰かに取られるかもとか思って
死にそうな気持になったことってあるッスか?
こんなの本当気持ち悪い」
でも止められないんスよ。


「黒子っちを好きってこの気持ち
受け入れて」

「……黄瀬君」

ようやく口にできた声は
黄瀬君の苦しさがうつったみたいに
ひどく掠れていてた。

「同じ気持ちを持ってとか言わない。
オレを選んでくれるだけでいいっスから」


そう言ってから黄瀬君は
跡が残りそうなほど強くつかんでた
ボクの手を離した。


「黒子っち、キスして。
オレからはしない。
したらきっと止まれない」

そっと黄瀬君が目を閉じる。



どくどくと鼓動の音だけが
うるさく鳴った。


黄瀬君。
ボクは、どうしたらいいんだろう。


「黄瀬君、ボクは……」


さっきの激情が嘘みたいに
静かに待つ黄瀬君。



ボクは何故か息を殺して



目を閉じてボクを待ってる



黄瀬君に近付いた。





PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
E-Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
*calendar*
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
*search*

Template "simple02" by Emile*Emilie
忍者ブログ [PR]